「スマホがあればパソコンはいらない」という人が 増えています。
スマートフォンの普及とパソコンに負けない機能向上によって、若い人たちのパソコン離れ、シニアの人たちの苦手意識などで「もうパソコンなんていらないよ!」というわけです。
ところが一方で、リモートワークや遠隔授業、e-Sportsの隆盛、プログラミング教育が始まっていることなどによりパソコンの売れ行きは堅調のようです。
もうスマホだけで大丈夫と考える人たちにも一理ありますが、その結果、知らない内に「不利な状況」にならないかが気になるところです。
スマホとパソコンそれぞれの「メリット」と「デメリット」を比較しながら、自分にとって一番よい環境は何かを考えてみるキッカケになるようにまとめました。
参考にしていただければ幸いです。
スマホとパソコンの生い立ちと進化
まずスマホがどのように進化したのかをiPhoneを例に見てみましょう。
★現在の機種と比べると隔世の感がある初代のスペック
項目 | 機種 | 備考 | 機種 | 備考 |
---|---|---|---|---|
初代iPhone | iPhone13 | |||
発売日 | 2007年6月9日 | 日本及びカナダ、オーストラリアなどでは発売されず、次機種のiPhone3Gから発売開始。 | 2021年9月24日 | SoftBank、Docomo、au、楽天で取り扱い |
当初OS | iOS1.0 | ユーザーがiTunes上で自ら回線業者と契約。 不正改造を目的とした不正入手などが多発したため、iPhone 3Gからは、本体の購入と同時に契約を行う方式に変更された。 | iOS 15 | |
最終0S | iOS2.0 | – | ||
CPU | Sumsung 32bit RISC-ARM 412MHz | A15 Bionic | ||
ストレージ | 4GB/8GB/16GB | 128GB/256GB/512GB | ||
画面 | 3.5インチ 320×480 ピクセル | 6.1インチ 2,532×1,170ピクセル Super Retina HDRディスプレイ(有機EL) | ||
認証方式 | ー | FACE ID | ||
バッテリー | 1,400mAh | リチウムイオンバッテリー | リチャージャブルリチウムイオンバッテリー内蔵 41Wh | |
通信 | GSMセルラー接続 Wi-Fi (802.11 b/g) Bluetooth 2.0 USB 2.0/Dockコネクタ | 最大通信速度は384kbps | 5G対応(Sub6波のみ) CDMA EV-DO Rev.A ギガビットLTE MIMO対応Wi-Fi6(802.11ax) | |
コネクタ | USB 2.0/Dockコネクタ | USB3.0/Lightningコネクタ MagSafe、Qiワイヤレス充電 | USB-Cは未採用 | |
外側カメラ | 200万画素 | 固定フォーカス 動画機能なし | 1,200万画素 (超広角、広角) | パノラマ、ナイトモード、Deep Fusion、スマートHDR 4、Live Photos、 レンズ補正(超広角)、高度な赤目修正 自動手ぶれ補正 など |
内側カメラ | なし | 1,200万画素 | ||
接続 | Bluetooth 2.0 Wi-Fi 802.11 b/g | Bluetooth 5.0 Wi-Fi 802.11ax/11v/11r/11k VoLTE、内蔵GPS | ||
重量 | 135g | 背面カバーは金属とプラスチック | 173 g | フレームはアルミニュウム 背面は強化ガラス |
価格 | USD499 (約59,800円/4GB) | 日本では未発売 | 98,800円(128GB) | |
販売台数 | 約610万台 2007/6〜2008/6 | 8,200万台(予測値) 2021年第4四半期(10月〜12月) |
「タッチ操作のできるワイドスクリーンのiPod」「革命的な携帯電話」「インターネットコミュニケーター」の3つを統合したデバイスとして披露され、世界中が諸手を挙げて歓迎しました。
このスティーブ・ジョブスの発表から17年が経ち、OSや機能やアプリがめざましい進化を遂げているスマートフォン。
一昔前には、体育館ほどのスペースが必要だった「コンピューター」が、今私たちの手のひらに乗っていて、電気や水道、ガスなどと同じ生活インフラアイテムとして定着しています。
「どこへ行くにも、スマホ片手に」という方がたくさん見受けられます。
実はパソコンもスマホもハードウェアの構成に大きな違いはありません。
⥂ デバイスの主なハードウェア構成
・CPU ( Central Processing Unit )
・メモリ ( 読み書き両方できるRAMと読み出し専用のROM)
・外部記憶装置
・ディスプレイ
・入力装置(キーボード、マウス、タッチパッド)
初めにパソコンが進化・軽量小型化し、後を追うように携帯電話〜スマートフォンが発達しました。
新しい機能、製品、サービス、ソフトウェアなどが毎日のように報道されている一方で、面倒臭い、難しいと避けている人や、操作を覚えるだけでも大変と考えている人もかなり多いのではないでしょうか。
このことが最近よく言われている「デジタル格差」の一因にもなっています。
スマホでなくガラケーの方が使いやすいという人もまだまだいらっしゃいますね。
スマートフォンの利用者は86.9%、ガラケー(フィーチャーフォン)は6.8%、ガラホは1.3%
MMD研究所 「2021年3月 通信サービスの利用動向調査」( 対象:18歳~69歳の男女40,000人、期間:2021年2月8日~2月10日 )
今、一番身近にあるスマホや、より守備範囲が広がるパソコンは、
個人レベルで管理・操作ができるハイエンドツール
といえます。
まずスマートフォンとパソコンのそれぞれの特徴を理解し、その活用法を探っていきましょう。
知ることでデジタル格差に陥ることを回避していく一歩になります。
それぞれの特徴、メリット・デメリットを簡単に比較してみます。
スマホとパソコンの比較
1.スマートフォンの特徴
(*タブレットは、画面の大きさと通信機能の違いを除くと、ほぼスマホと同様と考えられます。
以下ご自身の端末機器に読み替えてください。)
・スマホ本体は、機能の飛躍的向上に伴い、パソコンと同じかそれ以上の価格のものも目立つようになっています。
・一方でサイズや機能を抑え使いやすさに特化し価格を抑えた商品も人気を集めています。
・政府の主導により、通信料金の見直しが図られ、利用者の負担軽減が進みつつあります。
・初等、中等学校教育現場での使用増加が見込まれ、今後も需給の逼迫が予想されています。
*メリット
*デメリット
- 機器もアプリもユーザーフレンドリー
- 慣れているので直感的にすぐ使える
- 操作がシンプルで簡単
- ナビゲーション、乗り換え案内、とっさの連絡など機動性にすぐれている
- 写真がきれいに撮れる
- 音楽や動画をどこでも視聴できる
- 手軽で楽しいゲームができる
- 開いてすぐ使える
- パソコンに比べて価格が安い*1
- SNSをコミュニケーションツールとして使いやすい
- 絵文字などで気持ちを伝えやすい
- 持ち歩ける、軽量、スマート
- みんな持っている安心感
- 通信料金の値下げが期待できる
- 中古市場が堅調
- 移動中の使用は基本的にデータ通信が不可欠。
- 画面が小さく、文字などが見づらい
- 画面が滑りやすく誤操作しやすい
- 写真などのデータが増えると容量が圧迫され動作が不安定になることも
- 長い文章の入力がしづらい
- アプリ、機能が多くて使いこなせない
- 通信が不安定になる
- バッテリーの性能が3年前後を境に低下する
- 通信料・機種代金の毎月料金がかかる
- 機能が高度化して機種価格が上がっている
- 落下、紛失の心配がある
- わからないことを聞くサポートが不明
- 周辺機器の選択肢が限られる
- 機種、バージョンによって使い勝手が変わる
*1 最新のiPhone13など高機能が搭載された機種は、10〜15万円ほどで、パソコン並の価格になっています。
2.パソコンの特徴
・コロナ感染症の影響、また国家間の政治的の対立から世界的な半導体・部品不足が起きていて生産が遅れ気味と言われています。
・リモートワーク関連の需要の急激な増加で、商品の品薄感、価格上昇が続いています。
・一方で中国製や台湾製、韓国製などの低価格PC、アメリカのDELL、HPなどが一定のシェアを獲得しています。
・教育指導要綱改定などに伴い、ロボット研究、プログラミング、e-Sportsなど学校教育での使用増加が見込まれるので需給の逼迫が予想されます。
*メリット
*デメリット
- 画面が大きく見やすいので目が疲れない
- 楽に長い文章を入力できる
- 速く文字入力ができる
- 会議や講演、コンサートなどリモート参加がしやすい
- 動画、音楽、映像などが制作・編集できる
- ネットショップの比較・検討がしやすい
- モニターを追加して多くの作業を同時にできる
- サイトやブログの運営がしやすい
- e_SPORTSなど新しい分野が広がっている
- Office、Photoshopなど、プロ用アプリケーションが充実している
- 機能を充実させる周辺機器が多い
- 多くのデータ、ファイルを蓄積し管理できる
- 操作に慣れが必要
- 不明な画面が出てくる
- 電源を入れてから使うのに
時間がかかる - 外出に持ち出すのが不便
- セキュリティの心配が多い
- 更新・アップデートがよくわからない
- 突然状態が変わることがある
- 使わないソフト・機能がたくさん
入っている - 有料ソフトの価格が高い
- 操作などわからない時、相談する相手に困る
- 価格が高く買い換えに躊躇する
- 中古品は品質の見極めが難しい
- 修理代が高額になりがち
スマホとパソコンのできること、できないことの比較
1.スマホでできてパソコンではできないこと
1.カーナビや地図での移動しながらの現在地表示・・・パソコンにはGPS機能がない
(ただしパソコンも、以下の方法で、現在の位置情報を得られています)
- 複数の基地局からの信号強度を測定し、三角測量を行う
- IPアドレスを利用して、おおまかな位置情報を特定する
- Wi-Fiの位置情報を利用して、位置情報を取得する
2.これはと思ったその場で気軽に写真を撮る
3.ボイスレコーダーとしてメモを取る・・・パソコンで行うには準備がいる
4.スキマ時間に簡単なゲームやニュースでちょっとヒマ潰し
5.ポケットに入れて持ち歩く
2.パソコンでできてスマホでできないこと
1.長時間の入力作業・・・スマホは短文向き
2.とにかく細かい作業はパソコンに軍配・・・画像や音楽などの細かい調整、Excelの表編集など
3.ブログやホームページのHTMLなどの編集・・・スマホではキーボードでのスムーズな編集がしにくい
4.動画、音楽、高解像度の写真などの編集・・・スマホでは大きいファイルは容量的に難しくなる
5.マルチでディスプレイでの作業領域の拡大・・・プログラミングや動画・音楽の編集、株などの
投資のリアルタイム取引などに適している
6.ZoomやSkypeでの公式な会議、講演など・・・スマホではカジュアルな印象、画面共有は難しいなど
3.スマホとパソコンを連携すると…
両者を使い分けながら、デバイス・ツールを連携させると、それぞれの弱点を補いながら、機動性や正確性が向上して、満足のいく成果が生まれやすくなります。
例えばスマホのデータをバックアップしたり移行させるには、パソコンにデータを移すことがとても有効です。
例 1 : 旅行の写真管理
スマホ
写真を撮る
- 失敗を心配せずどんどん撮る
- 自撮り
- 簡単な動画
- 簡単な効果付け
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パソコンに移す ( コピー)
パソコン
様々な編集
- 大きさ(容量)の調整
- 色味の調整
- ファイル名の変更
- フォトムービーの作成
- フォルダー分け
- 外付けデバイス、メディアに移す ( バックアップコピー )
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クラウドにアップ (バックアップ )
クラウド
記録アルバムとして中・長期保存
スマホ、パソコンは写真消去で容量解放
例 2 : スマホのバックアップ
スマホ
写真や音楽などの大切なファイルのほかにLINE、ゲームのデータ、アプリ、いろいろなアカウント情報などが入っている。万が一スマホが故障すると、修理したり買い替えた時、全てが失われ一から設定などをし直さなければならない。
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パソコンにバックアップ ⇄ パソコンから復元する
パソコン
パソコンにそっくりそのままバックアップしておくと、修理上がりや買い換えたりしても、元の状態に復元することができます。
( 上記の作業には、有料・無料のソフトウェアやサービス、機器の追加が必要になる場合があります。また復元する時、アカウントの再設定が必要になる場合もあります。)
このような流れを作ると、作業が効率的に楽しみながらできると思います。
ぜひチャレンジしてみてください。
まとめ
それぞれの特徴を整理すると、
・スマホ
電話機能に加えてネット閲覧、検索、趣味、写真・動画などの楽しみ、SNS、気軽な時間潰し、コミュニケーション
・パソコン
仕事や公的な手続き、投資、ネットバンキング、e-Sports・高度なネットゲーム、写真・動画編集や整理、プログラミング、専門的なデータ作成・管理
に向いていると言えます。
パソコンとスマホの情報だけでも洪水のように溢れ、日々更新されていくので、どれが本当で、どれが自分に必要なものか、考えるだけで疲れてしまいます。
比較の表で見た通り、価格やできることの差が以前ほど大きくなくなって、今後も機能、使い方などの開発が進んでその差は縮まっていくでしょう。
今でも、スマホだけで十分いろいろなことができますから、事足りると考えることもできます。しかし音楽、ゲーム、新聞や読書、メールやSNS、調べ物など、まだまだ楽しむ要素が眠っています。
両方を連携して使えればデジタル生活がもっと便利で活用の場面が広がります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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