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この記事は、今、第三のOS として注目を集めている Linux について基本的な解説をしています。
1. Linuxのあらまし
1-1. LinuxはOSの一種
► Linux はOSの一種です。OSとはオペレーティングシステムの略で、コンピュータを使う時の基礎になるソフトウェアプログラムです。
► パソコンやスマートフォンを起動して、アプリケーションで様々な作業をしますね。これらの一連の動作を制御実行している基本プログラムがOSです。キーボードやマウスなどから送った指令を、OSが「メール」や「Office」「LINE」や「Webブラウザー」などのアプリケーションに渡すことで、目的の仕事が実行されます。
► パソコンではMicrosoft社の Windows、Apple社の macOS などがありますが、Linux は第三のOSとも呼ばれています。ちなみにスマホではGoogle社の Android、Apple社の iOS などがあります。
1-2. Linux 一番の特徴は?
► Linux はオープンソースのOSです。
► オープンソースとは、無料で、自分の思うように作り変え可能なプログラムです。
Linux は世界中の有志が手を入れながら作り上げていきます。内容が完全に公開され、言わば皆んなで育てるという珍しいOSです。
► リーナスという天才のアイディアと無数のエンジニアのボランティア的努力の積み重ねが成果となっていて、世界中で利用され支持されています。この15年ほどで、国や自治体、大学などの研究施設、企業のサーバーシステムや個人ユーザーの日常利用まで様々な広がりを見せています。
2. Linux おススメする理由
なぜ Linux がいいのか、ここから実際に Linux でできることをあげてみます。
基本はやはり、オープンソースで誰もが無料で使えるという点です。
基本的な外観や機能はWindowsやMacなどとそれほど変わりません。
Linux には個々の開発者が目指した機能によってたくさんの種類 (ディストリビューションと言います ) があります。
2-1. とにかく無料であること
► オープンソースは「みんなで、自分とユーザーにとってもっと良いものを作りたい!」という発想から、自由さと熱意をもとに開発されていて、他の無料ソフトとは一線を画しています。
Linux がここまで多くの人々に支持されようになったのは、機能の向上を持続しながら、オープンソースで進化してきたからだと言えます。
► また使いやすいという要素のほかに、やはりLinuxがここまで浸透してきたのは、無料という点も大きいと思われます。
WindowsOS や macOS はパソコンにあらかじめインストールされていて、パソコンの価格に組み込まれています。WindowsOS は他のパソコンにOS単体をインストールするためには、およそ1台15,000円〜20,000円の購入費用がかかるでしょう。macOSは 機種の年代によってバージョンが異なるOSを再インストールすることは可能ですが、現在OS単体の販売はしていません。
しかし、Linuxであれば、OSのインストールは無料で費用がかかりません。しかも誰もがどのパソコンにでも自由に最新版をインストールすることができます。必要なのはパソコンのハードウェアだけです。もちろん中古でも構いません。
とにかく無料で使える! これが、Linuxの最大のメリットなのです。
► もちろん WindowsOS や macOS と見た目・使い勝手、は多少異なります。しかし、セキュリティが万全なのでインターネットが自由に使え、WordとExcelには互換用のソフトウェアが用意されている、音楽や写真の利用もできるなどいいことずくめなのです。
► 操作に慣れるのにはじめの1週間くらいはかかるかもしれませんが、動作が軽いので古いパソコンでもLinuxをインストールすれば、快適にパソコンを活用できるはずです。
2-2. ソフトウェアもほとんど無料
► 当然OSが入っているだけではパソコンの意味がありません。WindowsOS や macOSのパソコンを購入したときには、初めから使いきれないほど様々ななソフトウェアが入っていますが、Linuxには必要最小限の環境が準備されています。さらに無料のソフトウェアがプレインストールしてあり、追加インストールもできますから、普段私達がパソコンでする作業は無料でほとんどのことができてしまいます。種類と使いやすさにはきっとびっくりすることでしょう。
► 例えばOfficeにはWindows版やMac版がありますが、Linuxには「LibreOffice」という互換ソフトがあらかじめ入っていることが多いです。Linux の種類によっては入っていないこともありますが、簡単にあとからインストールができます。
► このことが、余分なものがない軽くサクサク動く要因になっているのです。たとえ古いパソコンでも ! です。
2-3. 中身が自由に変えられる
► Linuxのユニークな点は、OSの中身をさわって変更できることです。WindowsやMacではできないことです。しかしLinuxはオープンソースであり、自分のやりたい通りに中身をどんどん書き換えることが可能なのです。
► 書き換えた結果として不具合が起きたりパソコンが起動しなくなる事態もありえます。そんな時はまたLinuxをインストールしなおして、初めに戻ればばいいのです。なんといっても無料なのですから、色々試行錯誤しながら Linux OS の本質的を理解していくことが可能です。
► 初心者の人には少し敷居が高いと思われるかもしれませんが・・・チャレンジしていく価値は十分あります。デフォルトのまま使っても、もちろん快適に利用できますから、ご安心ください。
► OS、アプリケーションソフト、セキュリティ関連ファィル共に適時アップテートが用意されますので、ボタンひとつ押すことで完了してしまいます。
2-4. サーバーを自由に作れる
► サーバーとはネットワーク上で他のコンピューターに情報やサービスを提供するコンピューターのことです。
インターネットを利用して、LINEやFacebookやGoogleなどを使っているというのは、LINEやFacebookやGoogleのサーバー(コンピュータ)に繋がっているということにななります。世界中から無数の人たちがそこにデータを見に来るわけです。
そのためサーバーは1から数万台のコンピュータで構成されますが、大きいサービスでは、速度や安全性の問題でコンピュータをたくさん用意して処理を分散して安定稼働させています。
► そのようなサーバーサービスを構築するシステムプログラムとして利用されているのがLinuxです。もしWindowsで同じようなことをしようとすれば、きっと膨大な費用がかかってしまうでしょう。Linuxの有用性が重視されて大きなシェアを誇っている所以です。
なんといっても、シンプルなOSであり、費用がかからないので手軽にたくさんのサーバーを運営ことができます。最近もてはやされているクラウドサービスもLinuxがあって成り立っています。
► また、シンプルで軽快な動作に加え、自分で色々と工夫し改造できるのですから開発現場にとっても、とても便利です。使いたい目的や環境に合わせて調整する作業はLinuxでは容易にできてしまいます。もちろん、その分だけエンジニアに様々な知識と技術が必要になり、場合によっては結果の責任を負う必要も出てきます。
► サーバエンジニアの需要は年々高まっていると言えます。
2-5. Androidみたいな新しいOSが作れる
► スマートフォンのAndroidを知らない人はいないでしょう。日本では、「iPhoneじゃないスマホ」のように思われますが、世界的に見るとAndroidのシェアの方が高くなっています。
► AndroidはGoogleが開発しているLinuxをベースとしたスマホ用のOSです。Androidを作る上で、まったくゼロベースから作らなかったのは開発効率という意味でも、安定起動確保としても正しい方法だったわけです。
► このようにLinuxの基本部分を利用して、新しいOSを作ることもできるので、気づかないうちに私たちも多くのメリットを受けています。
2-6. 家電や車、ゲーム、高性能コンピューター
► Linuxのように改造や調整が自由に行えるメリットはとても大きい結果を生みます。それゆえ Linux OS は様々な場面で活用が進んでいます。
► 前項のAndroidだけではなく、家電製品、車、ゲーム機から大学の研究の場などでもLinuxが使われています。また、高性能コンピュータはLinuxで動作させていることが多いです。
► 今後 IoT「もののインターネット」と呼ばれて、身の回りのたくさんのものがインターネットにつながっていく時代が来て、そのときLinuxは今以上に利用されていくと思われます。
2-7. PlayStationにもLinuxがインストールできる?!
► 世界でもっとも有名なゲーム機のひとつはPlayStationでしょう。今現在PlayStation自体にLinuxがインストールされてはいないのですが、関係性は色々と話題になりました。Linuxをいじるためのキーボードが発売されたり、PlayStation2の上で動くLinuxの発売を求める署名活動が起きて、実際に発売されたほどです。結構売れたようです。
► 残念ながらPlayStation上でLinuxが使われていたわけではなく、開発環境がLinuxベースだったというのが本当のようです。
2-8. 自宅の古いパソコンをサクサク動かす
► 繰り返しになりますが、Linuxはとにかく軽くてサクサク動くという特徴があります。
► WindowsOS や macOS は様々な機能やソフトが組み込まれていて、その結果、重たいOSとなり、できるだけ最新の高性能なハード✷1が要求されます。一方Linuxは不要なものをそぎ落としている軽量OSなので普通に速く動くという点があります。
✷1: より多くのメモリ、速い記憶装置、CPU、グラフィックボードなど
► 自宅で使用していない、古いPC ( Windows機でもMacでもOK ) があればLinuxをインストールしてみましょう。ハードの故障がない限りサクサク動いてくれます。それだけLinuxは軽いのです。
► 反面様々な場面で先回りして手助けしてくれるような補助的システムがあまりないので、自分で覚え、考えて操作していくことが必要になります。
2-9. CUIの操作に自然と慣れる
► LinuxはGUIといって、普段使っている普通のパソコン画面 ( 右 ) で操作する方法も利用できます。デスクトップ画面があって、フォルダが見えて、アイコンがあって、といういつも通りの見た目の使い勝手です。
► しかし、もっともよく使われるのはCUIベースでの作業でしょう。CUIとは黒い画面と白い文字だけの画面 (左 )です。ちょっとオタク的、エンジニアっぽい画面ですね。コマンドを打ちながら作業を進めていくのですが、これが普通に使いこなせると、便利でとてもかっこいいです。
► また、プログラミング言語を動かす環境として、Linuxは様々な面で優れていて、プログラミングの勉強にもってこいです。例えばPHPというプログラミング言語を動かすにはWebサーバの環境が必要ですが、Linux上でWebサーバを動かすのは簡単です。
► 少しのやる気と根性があればちょっと時間はかかるけど、ITエンジニア風に見え、他の人たちの「凄いね!」がGETできます。ますますモチベーションがアップすること間違いなしです。
3. Linux には種類がたくさんある
開発が盛んなLinuxには800もの種類 ( ディストリビューションといいます ) があると言われています。
Linuxのディストリビューションには大きく分けて3つの系統あり、わかりやすく区別するために特徴的な名前がついています。それぞれのの系統について、簡単に紹介します。
3-1. Linux の3つの系譜
► Debian(デビアン)系
- 高性能で敷居が高く難しいイメージがあるが、実際は利用しやすい
- 大人気のUbuntuに発展(デスクトップ用途とサーバー用途とも)
- Raspberry Pi(ラズベリーパイ)という超小型PCのOS(Raspbian)にも引き継がれている
► Slackware(スラックウェア)系
- 管理方法は複雑で、初心者には比較的難しいイメージがある
- 安定性やセキュリティを重視している
- openSUSEやPlamo Linux、Puppy Linuxなどが有名
► Red Hat(レッドハット)系
- 有償で企業向けに特化したものにRed Hat Enterprise Linux(RHEL)がある
- 無償ではFedora(フェドラ)やCentOS(セントオーエス)が定番
3-2 おすすめLinuxディストリビューション 5つ
► 1. Ubuntu(ウブントゥ)
サーバー用途ではもちろん、個人の日常用途でも、人気が高いLinuxディストリビューションです。このあとのDebianより派生しました。
安定性 | ◎ | 長期サポート(LTS)版では5年間セキュリティアップデートあり |
---|---|---|
軽量さ | ◎ | サーバー用途は軽量、デスクトップ用途でもメモリー1GBから動作 |
デザイン性 | 〇 | 洗練した感じはMacに少しかなわない |
情報量 | 豊富 | フォーラムが多数充実 |
日本語環境 | ◎ | Ubuntu Japanese Teamと呼ばれる専門化グループが対応 |
シェア(サーバー用途) | 1位 |
► 2. CentOS(セントオーエス)
初心者の方にはおすすめのディストリビューションの一つです。サーバー用途として、まずはCentOSから試してみることをおすすめします。CentOSでは、Yum(Yellowdog Updater Modified)というパッケージ管理システムがあり、個々のソフトウェアをコマンドで管理しています。
安定性 | ◎ | 知名度高くエンジニアにも人気 |
---|---|---|
軽量さ | ◎ | サーバー用途は軽量 |
デザイン性 | 〇 | |
情報量 | 豊富 | 初心者~上級者向け日本語の情報(公式・非公式)は充実 |
日本語環境 | ◎ | フォーラムが充実 |
シェア(サーバー用途) | 3位 |
► 3. Debian(デビアン)
上級者向けのイメージがありますが、初心者向けの日本語情報も豊富にあります。Debianでは、APT(Advanced Package Tool)というパッケージ管理システムがあり、個々のソフトウェアをコマンドで管理しています。
安定性 | ◎ | 基本のLinuxとして評価されている |
---|---|---|
軽量さ | ◎ | サーバー用途は軽量 |
デザイン性 | 〇 | |
情報量 | 豊富 | 初心者~上級者向け日本語の情報(公式・非公式)は充実 |
日本語環境 | ◎ | フォーラムが充実 |
シェア(サーバー用途) | 2位 |
► 4. Linux Mint(リナックス・ミント)
デスクトップ用途として有名なLinuxディストリビューションです。DebianとUbuntuをベースにしています。日本語環境を整える方法は、Linux Mint Japanのダウンロードページ内の項目「日本語化の方法」が参考になります。
安定性 | ◎ | |
---|---|---|
軽量さ | ◎ | システム要件はCPU:700 MHz Single Core メモリー:512 MB |
デザイン性 | 〇 | |
情報量 | 〇 | Linux Mint Japanにて日本語で各種情報を公開 |
日本語環境 | 〇 | |
シェア(デスクトップ用途) | 3位 |
► 5. Raspbian
ここ数年世界中で人気の、超小型パソコン「Raspberry Pi」(ラズベリーパイ)に搭載の専用OSです。そのOS名から連想されるように、Debianから誕生しているディストリビューションです。
たとえ低スペックの小さなコンピュータでも、軽快に動作するように設計されています。OSは公式サイトから無料でダウンロードして利用可能です。Raspberry PiでWordPress ( ブログ作成ツール ) を動かすこともできます。
Raspberry Pi 本体だけでしたら数千円で購入できますが、実用には周辺機器が必要になりますのでカスタマイズが好きな方におすすめです。
★★★★☆ おすすめのKIT (セット)
※ こちらに、初心者向けの 「ラスベリーパイの始め方」 がわかりやすく解説がされています。
→ おすすめPCドットコムさんのページ (外部サイト)
安定性 | △ | 高負荷になる動作には弱いが遊べるOSとして人気 |
---|---|---|
軽量さ | ◎ | 最軽量(PCにインストールした場合、システム要件はCPU: x86 processor. メモリー:512 MB) |
デザイン性 | △ | |
情報量 | 豊富 | 各種サーバー設定例などの検証結果が多く公開されている |
日本語環境 | 〇 |
チャレンジの課題
1.サポートが切れたWindowsパソコンは、セキュリティ上基本的にインターネットを使えません。しかし、Linuxのインストールには公式サイトから、「インストールisoファィル」をダウンロードする必要があります。
あえてその時だけ自己責任でインターネットを使う、
家族や知人のパソコンを借りる、
今持っている別のパソコンを使用する、
などの選択肢から決めなければなりません。 ( 最後の「まとめ」でご紹介している入門書にはインストールディスクが付属していますのでその限りではありません。)
2.日本語化されているものもありますが、英語表記もいろいろ出てくることがあります。英語は全く苦手、という方は少し敷居が高くなります。
3.初めはキーボードで入力することが多くなります。
4.意味のわからない用語が出てきたときに、フォーラムやネット検索して調べる必要が出てきます。
5.メーカー、機種によってはデュアルブート*1 の設定ができないことがあります。その場合、Windowsを消してしまってLinuxだけをクリーンインストールすることになります。
*1: WindowsとLinux両方インストールした状態で使用。起動時に切り替えてどちらも使える。
6.システムが進化しているWindows 10 や Windows 11 にLinuxを入れるのは中〜上級者以上でないとBIOSやUEFI、「ブートローダ」などの調整がややこしいと思われます。
その点で、まず Windows 7 以前の古いパソコンでチャレンジされることをおすすめします。
スルーしてもOKの余談
コンピュータシステムを起動するとBIOSやUEFIがシステムを初期化(使用出来る状態への準備)をし「ブートローダ」が起動すします。そのブートローダからOSが起動されます。いわば、「起動のための方法の選択」ですね。複数のOSがHDDやSSD(これら補助記憶媒体)にインストールされている場合、ブートローダから指定してOSを起動するようになります。
► 具体的にもう少しイメージを掴みたいという人のために、PC-FREEDOMさんのYoutube動画を貼っておきます。(ご注意:音が出ます) 使いやすいLinux Ubuntu 18.04 ですよ。
7.知識が不足気味の人には、インストール〜設定までわからない事だらけかもしれません。やり切るという意気込みと、失敗してもやり直す!という心意気で頑張りましょう。
まとめ
ここまで Linuxの概要をまとめてみました。Linuxが有用なオープンソースの無料OSだというところにご理解いただけたでしょうか。
他にも、
- 他のPCをトラブルシューティングしたり
- ロボットを動かしたり
- Webサイトを自分のパソコンから世界に公開したり
- 防犯カメラを自作で設置したり
- プログラミングの概念を少しずつ身につける
色々なことが可能になります。
私自身は、自分と家族の4台に、
・2010年 VAIO デスクトップ Windows7機 ・2010年 VAIOノート Windows7機
・2014年 Asus Windows7機 ・2019年のLenovo ノート Windows10機
一番使いやすい定番の Linux Ubuntu を入れました。
自分はMacの横に置いて音楽を流したり、サイト作成時にそれぞれのOSでの表示状態をチェックしたり、たまに簡単なゲームをしたり、Youtubeを見たり・・・特に使い方は決めていません。
► Linuxは使いこなせるまで一筋縄ではいかず、気力・努力を要しますが、使いこなせるととても便利なツールです。
► また何より嬉しいのは、サポートが終了して使わなくなった、使えなくなったパソコンを生き返らせてくれることです。インターネットも存分に使えます !
► ぜひ興味を持った方は、勉強をはじめてみてください。発見と驚きが待っています。
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