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一番身近なデジタルの道具、「PDF」についてお話ししていきます。
1.このページの概要
PDFはプリントせずに相手に渡せる電子的な紙です。
社会のデジタル化に伴い、紙のプリントに代わってもっとも広く一般に使われるようになった
「電子ファイル」がPDFです。
最近では、官公庁や自治体の各種申請書、届出書、企業の案内文、印刷の原稿用などに多く使われています。
ホームページからダウンロードして印刷し、必要項目を記入して提出する機会も
多くなりましたね。
また家電製品などの取扱説明書やパンフレットがPDFとしてメーカーのホームページに保存されていて、いつでも見ることができるようになっています。
出向いて取りに行く必要がなく、渡しに行く必要もない、しかも無料で利用できるのです。
家庭や仕事でこれからますます利用する機会が増えていくと思われるので、PDFの基本を理解しておきましょう。
このページでは、PDFとは何かという素朴な疑問に対して、分かりやすく説明しています。
またPDFの作成や閲覧の方法、技術的に少し突っ込んだPDFの効用などもまとめています。
2.PDFとは?
PDFは情報・データ・書式などの配布・交換・蓄積を「電子的に」行なうために用いられます。
つまり私たちが普段書いている、作っている書類を電子化したものです。
PDFは 文字・写真・図形・表 などを紙に印刷するように配置したページをそのまま保存するための「ファイル形式の名前」。
通常、ファイル名.pdf という拡張子で表示されます。
Portable Document Format(ポータブル・ドキュメント・フォーマット)
の頭文字を取ったものです。
紙の上に印刷して表現される文書のデザインやレイアウトなど、紙に印刷して交換していた情報を、PDF形式はほぼそのまま表現できます。
ですからPDFはプリントせずに渡せる電子的な紙なのです。
3.PDF作成、配布と閲覧
ⅰ.”PDF”の作り方 (無料でできます! )
なんてったってタダってぇのがいいじゃありませんか!
PDFは実際のプリンターではなく、仮想のプリンター(PDFプリンタードライバー)*注1
を使ってアプリケーションの印刷機能から簡単に作ることができます。
繰り返しになりますが、PDFにしたファイルは印刷したものとほぼ同じイメージが保存されています。
例えばマイクロソフトOfficeなどで作成した文書なども簡単にPDFに変換することができます。
ただし電子署名など、セキュリティを含めてより高度な編集機能を持つPDFを作成するには専用作成ソフトを使います。 ( 9.PDFのセキュリティ設定で詳説 )
印刷専門家向けから一般のオフィスソフト用、サーバーで自動作成するものまで様々な製品があります。
*注1 2000年代の古いパソコンには導入されていないことがあり、別途インストールが必要になります。(有料のもの、無料のものがあります。) 普通使うには、無料版で十分です。
*実際のPDFの作り方手順
➀書類を作る ( 普段使っているOfficeなど、特にソフトは限定はされない )
ほとんどのソフトできちゃいますよ!
・文章、表、イラストや写真などを入れてWindows10のWordを使った例
➁「ファイル」→ホームに戻り、下部の①「エクスポート」をクリック
➂②「PDF/XPS」ドキュメントの作成→③「PDF/XPS*注2ドキュメントの作成」ボタンの順にクリック。
➃ファイル名、保存場所を確認するとPDFが書き出されているはず。
➄ファイルをダブルクリックするとPDFビューアーが起動し、ファイルが表示されます。
ねっ、簡単でしょ!
*注2 PDFとXPS
XPSファイルは、Microsoft社が開発した文書の閲覧と印刷に特化したファイル形式(拡張子は.xpsまたは.oxps)です。PDFと同様どんな環境でも文書のレイアウトが崩れないことが特徴です。
XPSファイルとPDFファイルの大きな違いは、XPSファイルが文章を編集することができないのに対して、PDFファイルは文書を編集できることです。
現在はXPSファイルよりもPDFファイルの機能面が充実していることもあって、PDFファイルが使われるケースの方が圧倒的に多いです。
ウェブブラウザー(Google Chrome,EdgeやSafariなど)では表示しているサイトを、
PDFとして保存することができます。
ファイルメニューから「名前をつけて保存」「別名で保存」ではなく、「(ページを)印刷」から、プリント画面の”PDF”を指定して保存します。
ⅱ.配布
作成したPDFファイルは、電子メールに添付したり、クラウドで共有したり、メモリーに入れて郵送したり、直接渡したり、Webページに貼り付けたりして、簡単に配布することができます。
ただし重要な内容を含む場合は取扱いに注意をしましょう。
ⅲ.閲覧 ( 開いて見る)
PDFを受け取ったときは、PDFリーダー(PDFを表示できるビューアー)を使って画面に表示し、閲覧・印刷できます。
WindowsやMacなど主要な環境では、PDFリーダーとしてAdobe Acrobat Reader(アドビ・リーダー)が無償で配布されています。
スマートフォンやタブレット用のAdobe Readerも提供されており、ほぼすべての携帯端末でPDFを閲覧できます。
Adobeリーダーがなくても、MacではPDFファイルアイコンをダブルクリックすると「プレビューソフト」が起動して開くことができますよ。
*Adobe Acrobat Reader → ダウンロードサイト
基本的にはここまで理解していれば大丈夫だと思います。
引き続き、さらに詳しいその他の項目を説明します。
4. PDFの誕生と普及の経緯
PDFは印刷のための技術であるページ記述言語PostScript(ポストスクリプト)をベースとして開発されました。
PostScriptは制作者がレイアウト済みの印刷用データを印刷会社に渡すためのもので、情報を交換する用途には向いていません。
それに対しPDFは、印刷物と同じ高品質な情報を持ちながら、情報交換のためのリンク、しおり、注釈やフォームなどの様々な機能が追加できます。
PDFの利用が始まった当初は、PDFを作成するソフトウェアは有償で比較的高価でした。
その後、PDFを作成するソフトウェアの価格が安価になり、また、無償のPDF作成ソフトも多く出回るようになり、一般のユーザーもワープロや表計算ソフトで作成した文書を手軽にPDFにして、Webページや電子メールで受け渡しができるようになりました。
PDFを表示するソフトウェアは前述のように無償で配布されています。おかげで、印刷物と同じ高品質なレイアウトをもつ情報を不特定多数の人に素早く配布できるようになりました。
*Adobe Acrobat Reader → ダウンロードサイト
5.PDFとHTMLの違い
現在、PDFと並ぶもう一つの有力な情報伝達形式は、Webページを作成する言語である
HTML(ハイパーテキストマークアップランゲージ( “Hyper Text Markup Language”の略)でしょう。
HTMLは、主にウェブページという形で、コンピュータの画面上に情報を表示しながら、情報を提示しています。
普段私たちがブラウザーで見ている様々なホームページがこれにあたります。
画面は大きさや縦横比、解像度が閲覧するデバイス ( 端末機器 ) に依存するため、HTMLだけではレイアウトが変わってしまうことがあります。また、情報が新しいことが優先されるので日々内容が変化していきます。
HTMLとPDFは発達の経緯や表現の手法も異なります。
これらをどのよう統合しあるいは使い分けるかが、電子的な情報交換における課題かもしれません。
6.PDFが優れている点
PDFを使うと、従来紙を使って行っていた情報の伝達・管理が電子ファイルへ置き換えられます。
電子ファイル化により、紙のようにコピーや印刷を前提とすることがなく、
データファイルとしての柔軟性、保管・管理のコスト削減、検索の効率化、情報交換に要する時間の節約など大きな経済効果が見込まれます。
又、Postscript言語をベースにしているので、文字や表、写真などが元のまま劣化なく美しく再現されます。
ホームページでは訪問閲覧者に最新の情報を提示できるように、つねに内容の更新を前提としていることが多いです。
つまりHTMLは情報の固定化を想定していないので、状況によって書き換えられ、内容が変化していく可能性があるわけです。一度見たものが次に見た時には変わっていた、というように、ある瞬間の状態を固定化して保存するには不向きかもしれません。
ですからWebページで何か興味のある内容が見つかり保蔵しておこうと思った時、そのページを正確に保存しておくためには、HTMLのままではなく、PDFの形式で保存する方法がより適しているのです。
HTMLで保存するとどうなる?
「ページを名前をつけて保存」で保存するとサイトURLのショートカットアイコンとデータの入ったフォルダーがセットでダウンロードされます。
これはこれで、アイコンをクリックすると、ネットにつながっていない状態 ( オフライン )でも、元のページを見ることができます。ただし、アイコンとフォルダーの保存場所を変更すると表示されなくなってしまうことがあります。
とりあえず保存しておきたい料理のレシピページなど、利用目的によっては活用できます。
7.アプリケーション独立性 (ファイル形式 )
文書を作成するときは、その用途に応じたアプリケーション(ソフトウエア)を使用します。
( 例えば、文書や連絡書であればWord、計算書やデータグラフならExcel、画像一覧なら
Photoshopなど )
作成されたファイルはアプリケーションオリジナルの形式になっているので、
そのまま渡すと、受け取った人が閲覧するには、同じアプリケーションまたは互換性のある閲覧用ソフトウエアを持っている必要があります。
例えば、マイクロソフトのOfficeで作成した電子ファイルを渡すとすれば、相手もOfficeか、Officeと互換性のあるアプリケーションがないとファイルの閲覧ができません。
しかし、OfficeのファイルをPDFにして渡せば、受け取った人はAdobe Acrobat Readerがあれば閲覧することができるのです。
8.環境独立性 (フォントなど )
通常、パソコン上のファイルは作成した環境に依存してしまいます。
例えば、文字を表示するには、そのファイルを作成した環境にあるフォントを利用します。
同じファイルを別のパソコンで見たときに、同じフォントが使えなければフォントが
変わってしまいます。
フォントが変わると可視化したときの結果が変わってしまい、レイアウトが変わったり、最悪の場合、文字化けしてしまい文字として認識できなくなります。
これらを防ぐために、PDFを作成する時にフォント情報をPDFに埋め込み、
受け手の環境に同一のフォントがなくてもレイアウトの崩れや文字化けを起こさない仕組みが用意されています。
9.PDFのセキュリティー設定
PDFには暗号化などの技術を活用したセキュリティー機能を設定できます。
例えば、創作した文章をPDFとして作成する際、そのPDFを読者が変更できないように
セキュリティーを設定しておくことができます。また第三者が見ることを防ぐために、パスワードでロックをかけることも可能です。
PDFのセキュリティー設定では、PDFを特定の受け手にしか見せないようにする閲覧制限や、意図しない改竄をされないよう、PDF内の情報の取り出しや編集の禁止などが設定可能です。またパスワードを使うだけでなく、電子証明書を使う高度な機能も利用することができます。この場合、Adobe Acrobat Pro DCなど高度の機能を持った有料ソフトの利用をお勧めします。
* Adobe Acrobat DC ( スボンサーリンク )
10.PDFの改竄(かいざん)検出・証拠性の向上
情報を埋め込むことで著作者、作成者が誰かを証明することができます。
PDFに電子署名を施せば、PDFが改竄された場合にその検出ができます。紙を使う場合は、
紙の経年変化、インクのしみ、筆跡などを頼りに科学的な鑑定で改竄を検出しますが、
PDFの電子署名を使えば、コンピュータによるデジタル処理で改竄検出が可能です。
電子署名では、署名で使用した電子証明書によって署名者を特定できます。改竄検出とあいまって、
紙の捺印と比較しても、勝るとも劣らない証拠性をPDFに付与できます。
11.まとめ
わざわざ出かけたり、配送や郵送することなく、居ながらにして瞬時に渡したり受け取ったりできる
文書のデジタル化を身近にしたPDFについて説明してきました。
正しい知識で、簡単にまた安全にデジタル技術を享受しましょう。
開発された多くの方々の奮闘に感謝しながら・・・
チャチャーン、お後がよろしいようで!
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