今回は、ディキシーランドジャズの名曲、「世界は日の出を待っている」( The World Is Waiting For The Sunrise )という曲。今の時期だから是非聴いてほしい曲です。
若い人は、”ディキシーランドジャズ” を知らない人は多いでしょう。現在、テレビやラジオで演奏されることはほとんどないから無理はありません。
でもこのサッチモ ( ルイ・アームストロングの愛称 ) の「聖者の行進」は耳にしたことがある人が多いのではないでしょうか。これが “ディキシーランドジャズ” です。別名”ニューオーリンズジャズ”とも言われます。
1900年代初めにワークソングや黒人霊歌、ゴスペル音楽などをベースにアメリカ南部で生まれた古典的なジャズで、その後のジャズの流れにつながっていきます。メローでスローな曲もありますが、賑やかで体が自然に動いてしまう底抜けの明るさが特徴です。
通常は、ピアノ、ギターまたはバンジョー、ドラム、コントラバスまたはチューバといったリズム・セクションに、トランペット(またはコルネット)、トロンボーン、クラリネットなどの編成で演奏を行います。音楽的特徴として、特にクラリネットとバンジョーが重要な役割を果たしています。
加えてボーカルが加わることも多く、最も有名な歌手は、そう、冒頭のルイ・アームストロングですね。
1917年にニューヨークに進出した、ニューオーリンズ出身のオリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンド(ODJB)によって、「ジャズ-JASS*」は多くの音楽ファンの心を掴んでいきます。
*現在は「JAZZ」と表記されますが、当初は「JASS」が正しい呼び名でした。
多くのスターバンドやスターシンガーが生まれ、ラグタイム、ブラスバンド、ブルースなどと融合しながら、スィングジャズ〜モダンジャズなどへと繋がっていきます。
今回のおすすめアルバムが「Jass At Ohio Union」。伝説とも言われるクラリネット奏者「ジョージ・ルイス」のオハイオユニオンバンドのライブ盤で、ローレンス・マレロのバンジョーをフィーチャーした圧巻の演奏が記録されています。
一時絶版となり「幻の名盤」と呼ばれていましたが、多くの人たちの呼びかけと努力で1971年に徳間音工「Dan」レーベルから箱入り2枚組LPとして再販され、スイングジャーナル誌のゴールドディスクを受賞しています。
中でも9曲目の「世界の日の出を待っている」という曲は、第二次大戦後の暗い世相の中で、人々が希望を取り戻すきっかけにもなったといわれてい名曲。中学・高校でブラスバンドをやっていた自分も、演奏したことがあります。とても好きな曲の一つで、ストレスの多かったサラリーマン時代によく聴いていました。
この曲は、他にも、ベニー・グッドマン、ルイ・アームストロング、デューク・エリントン、レス・ポールとメリー・フォードなどの名演があり、日本のバンドや、あのビートルズも私家版として録音するなど、100を超える録音がされています。
世界の戦争や紛争、疫病、災害など暗い世の中になってしまっていますが、世界中の人たちが、タイトル通り、明るい「日の出」が見られることを祈りながら、この曲を聴いていただけたらと思います。
★ George Lewis’ Authentic New Orleans Jass Band
– Jass At The Ohio Union ( 1954/3/3 オハイオ州立大学講堂にてライブ録音 )
< 収録曲 >
1-1 | Introducing (Basin Street Blues) | 3:33 |
1-2 | Salute To Ohio State | 1:33 |
1-3 | Collegian | 3:44 |
1-4 | Mama Don’t Low No Music | 6:32 |
1-5 | Climax Rag | 4:05 |
1-6 | Lord, Lord, Lord, You Certainly Been Good To Me | 4:43 |
1-7 | High Society | 4:56 |
1-8 | If I Ever Cease To Love | 1:47 |
1-9 | The World Is Waiting For The Sunrise | 6:33 |
1-10 | Maryland, Maryland | 2:53 |
1-11 | Funeral Sequence | 5:24 |
1-12 | Burgundy Street Blues | 4:30 |
2-1 | Over The Waves | 5:56 |
2-2 | Bugle Boy March | 5:05 |
2-3 | Doctor Jazz | 4:30 |
2-4 | Red Wing | 3:55 |
2-5 | Sensation Rag | 3:29 |
2-6 | Corrine, Corrina | 6:50 |
2-7 | Ice Cream | 6:08 |
2-8 | Chimes Blues | 4:23 |
2-9 | When The Saints Go Marching In | 5:33 |
2-10 | Muskrat Ramble | 2:47 |
2-11 | Finale | – |
< 演奏 >
Kid Howard (tp,vol)
George Lewis (cl)
Jim Robinson (tb)
Alton Purnell (p)
Laurence Marrero (bjo)
Alcide Pavageau (b)
Joe Watkins (ds)
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