軽快なタッチと超絶技巧、「ピアノの皇帝」とも呼ばれるオスカー・ピーターソンです。
1925年8月15日、カナダのモントリオールで生まれました。
日本語タイトル「プリーズリクエスト」というこのアルバムを買ったのは、ジャケットに惹かれたからでした。普通Jazzのレコードは、「これがジャズだよ!」っていう顔をしているけれど、このジャケットはトリオの3人がみんな微笑んでいるんです。楽しそうなんです。曲目も知っているものが多く入っていて思わず買ってしまいました。
後から気づいたのですが、ジャケット写真はクラブでのライブのもの、音源は1964年の”Recorded at RCA Studios”でした!
それはともかく、このアルバムは、多分一番針を落としたレコードです。
しかしオスカー・ピーターソンはJazzファンやJazz評論家の間では評価の分かれる人です。
その理由は、完璧なテクニックとスイング感で聴く人を飲み込んでしまうほどの存在感があるからでしょう。 かまわずどんどんプッシュしてきます。
また演奏が洗練されていて泥臭さがないことで、押し付けがましい、商業的と批判されることも。
ビル・エバンスとは正反対のタイプといえるかもしれません。
6歳でクラッシックピアノとトランペットを始め、24歳の時、かのノーマン・グランツのJ.A.T.P. ( 当時超人気のツアーバンド ) に参加したことで人気を獲得し、翌年にはカーネギーホールでコンサートを行いました。また多くの名だたるミュージシャンやボーカリストと共演し、多数のレコーディングを残していきます。
その後、ピアノ- ギター- ベース のトリオ編成(1期)での演奏で名声を不動のものとしますが、のちにギターをドラムに変更します(2期)。
1953年にJ.A.T.P.と共に初来日、ちょうど30年後の1983年に記念来日コンサートを行なっています。
1993年、脳溢血で倒れ、療養のため一線を退きますが、病気を克服し、まだ左手が不自由でしたが再びピアノを弾けるようになり、6月にパリ・プルエイル劇場、10月にニューヨーク・タウンホールで行った「トリビュート・コンサート」 で奇跡のカムバックを果たします。
1998年に5年ぶり16回目の来日、東京ブルーノートでカルテット演奏を行いましたが、2007年12月23日、カナダ、トロントにて逝去しました。
冒頭に書いた通り一番聴いたアルバムです。B面1曲目の「You Look Good to Me」(君って素敵だね) はレイ・ブラウンの弓弾きベースとエド・シグペンのトライアングルの音、ピーターソンの可愛いメロディーで静かに、美しく始まります。これで参ってしまいました。えっ、これジャズなのって!?
ブラウンが弓を置く音がして、ピーターソンのピアノがどんどんテンポを上げていきをてきます。楽器の居場所がわかるし、スピーカーの外にまで音が広がる、5分弱の演奏ですが、始まりと同じように、静かに終わった時、十分お腹が膨れています。
Verveの録音もいいですが、シグペンの、チーンというトライアングルの高音は、再生機器や音のセッティング、そして自分の耳の状態次第でほとんど聞こえないかもしれません。
装置と耳の健康チェックに欠かせない1枚、長ーく付き合っていくつもりでいます。
ジャズは録音より演奏が大事と言われますが、このアルバムは音もいいですよ。おすすめします。
[参考] その他のおすすめアルバム
・「シェイクスピア・フェスティバルのオスカー・ピーターソン」/ ハーブエリスのギターとのトリオ演奏
・「ウェストサイド物語」/ 「プリーズリクエスト」と並ぶ入門者向けおすすめ
・「トラックス」/ ソロアルバム
・「ベリートール」/ MJQのミルト・ジャクソンとの共演
・「ハローハービー」/ ハーブエリスとの再会セッション
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● 曲目
01.Quiet Nights Of Quiet Stars (Corcovado)
02.Days Of Wine And Roses
03.My One And Only Love
04.People
05.Have You Met Miss Jones?
– – – レコード盤はここからB面 – – –
06.You Look Good To Me
07.The Girl From Ipanema (Garota De Ipanema)
08. D & E
09.Time And Again
10. Goodbye J.D.
● 演奏
Oscar Peterson : piano
Ray Brown : bass
Ed Thigpen : drums
Recording : 1964年10月 New York City
Label : Verve V8606
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