Jazzの醍醐味はなんと言ってもアドリブ演奏でしょう。きちんと楽譜にかかれた通りに演奏するスタイルのビッグバンドJazzもありますが、途中にアドリブのソロが入ることがほとんどです。
テーマのメロディをその時の気分や調子で思い浮かんだ通りに崩して演奏する上、共演者にも影響を与え、影響を受けることから緊張感が生まれ、演奏は一発勝負なわけです。
しかもライブでは、聴き手の反応にも影響を受けます。聴衆のノリが良いと演奏にも良い影響があっていわゆる名演が生まれることになります。
今回のアルバムは、エロール・ガーナーの「CONCERT BY THE SEA」です。
1955年9月19日に、カリフォルニア州あるサンセットスクール(現在のサンセットセンター)のゴシックリバイバル様式の集会所で録音されました。「サンセットシリーズ」といわれるこのシリーズは、現在も人気の高い「モントレージャズフェスティバル」の起源といわれています。アメリカ軍放送網による海外駐留軍人のために行われた放送で、オリジナルのLPは、Columbiaからリリースされ、試験的に録音されたステレオ版が、1969年に発売されました。
エロール・ガーナーは両親の影響もあり3歳からピアノを弾き始めましたが、左利きであったことと正式なレッスンを嫌ったため独学で才能を磨いていていくことになります。
生まれつき目が不自由であった天才ビアニスト辻井伸行さんは、稀有な才能と厳しい練習を重ねて世界中のクラッシックファンに感動を与えていますが、エロール・ガーナーも生涯譜面の読み書きができず、名曲「ミスティ」を作曲したときも、ホテルの一室で口ずさみながらテープに記録していったそうです。
利き手の左手の力が勝っていたため独特の力強いリズムが生まれ、右手のメロデイがわずかに遅れる演奏がうねるように聞こえる効果が生まれています。
このコンサートでは聴衆もノリに乗って、演奏が白熱していく様子がよくわかります。キース・ジャレット、オスカー・ピーターソン、バド・パウエル、セロニアス・モンクなどの名ピアニスト同様、演奏に加えて自身の唸り声が聞こえるところがところが面白いです。( 好き、嫌いが分かれるところではありますが… )
オリジナル版に加えて、3枚組のコンプリート盤も出ていますが、ジャケット写真が違うモデル、衣装になったことで物議を醸しました。
一般的にはあまり知られていないかもしれませんが、音楽誌や評論家にも高い評価を得て「不滅の名演」ともいわれています。エロール・ガーナーは私の好きなピアニストの一人。機材が十分でなく録音があまりよくないかもしれませんが、お馴染みの曲も多く、素晴らしい演奏をライブ会場の雰囲気を味わいながらぜひ聴いてみてください。
曲目
01.アイル・リメンバー・エイプリル(四月の思い出) (MONO)
02.ティーチ・ミー・トゥナイト (MONO)
03.マンボ・カーメル (MONO)
04.枯葉 (MONO)
05.イッツ・オール・ライト・ウィズ・ミー (MONO)
06.レッド・トップ (MONO)
07.エイプリル・イン・パリス(パリの四月) (MONO)
08.ゼイ・キャント・テイク・ザット・アウェイ・フロム・ミー(私からは奪えない) (MONO)
09.ハウ・クッド・ユー・ドゥ・ア・シング・ライク・ザット・トゥ・ミー(つれない仕打ち) (MONO)
10.ホェア・オア・ホェン(いつか、どこかで) (MONO)
11,エロールのテーマ (MONO)
演奏
エロール・ガーナー : piano
エディー・カルフーン : bass
デンジル・ベスト : drums
Amazon CD情報
Apple Music
コメント -心ない書き込みはご遠慮ください-